DJか彫り師になりたい、それが出来ないなら死にたい

20代独身、SE、東京暮らし7年目。犬が好き。猫も好き。

1時間と1万人以内にハッピーアワーは壊せない

 

気づいたら何故かスーパーマーケットで店員として働いている自分が、何故か店内で迷子になっていた。

 

なんだか薄暗くてだだっ広くて、自分の背丈よりだいぶ高い棚がコストコみたいに並んでて、そこに商品がぎゅうぎゅうに、うずたかく積まれていた。

 

何をしていたところだったのかは忘れたのだけど、元居た場所に戻ろうと店内をうろうろしていたら、同じく店員であろう人間に声をかけられ、手を引かれ、半ば強引に売り場の端っこの方に連れていかれた。

 

客らしき一人の女性がスマートフォンを見つめながら背の低い冷蔵庫に上半身を預けていた。

 

「『イカれたスカート』どこ!???」

 

ああ映画のことだな、と私はすぐに察した。

 

その女性が求めている映画を、私は周りにある棚から見つけようと手あたり次第に紙パックの表示を見て回る。

 

このあたりの棚には牛乳とかオレンジジュースとかがよく入れらている紙パックがぎゅうぎゅうに並べられていて、〇△牛乳とか××オレンジとかがよく書かれている箇所に映画のタイトルが書かれている。

 

ざっと探してみたが「イカれたスカート」は無さそうだった。

 

息を切らして女性の元に戻り、「ありませんでした」と伝えると、両手で持っているスマートフォンの画面を「これよ」と私に突き付けてきた。

 

イカれたスカート」のものであろう映画のポスターが表示されていた。

「ああ~これか」と私は思わず言葉を漏らした。

 

「1時間と1万人以内にハッピーアワーは壊せない」のことか、と思ったのだ。

これならさっきまで私が探していたやつだ、と。

 

ん?でもこれは「イカれたスカート」ではない。

私が探していたのは「1時間と1万人以内にハッピーアワーは壊せない」であって、「イカれたスカート」ではない。

 

でも「イカれたスカート」を探している女性が私に見せてきたポスターは「1時間と1万人以内にハッピーアワーは壊せない」・・・????

 

謎がぐるぐると頭の中で渦巻き、私は売り場に倒れてしまった。